Vol.1『仲介料がタダ!?売主物件ってなに?』
『ツキノキ先生と語る 家さがし対談』
家探しを始めるにあたり、「何から始めたらいいの?」「いくら貯めたらいいの?」など、様々な疑問が浮かんできますよね。
『ツキノキ先生と語る 家さがし対談』では、長年宅地建物取引士として活動し、数多くのお客様とかかわってきたツキノキ先生に、家探し中、特に中古住宅をお考えの方に役立つお話や業界の裏話など、様々なテーマで質問してみたいと思います。
第一回のテーマは、『仲介料がタダ!?売主物件ってなに?』です。
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はじめまして。私はまだ家探しを始めたばかりで、ネットで色々調べてはいるんですが…
私はできれば戸建ての広い家が希望ですが、主人は通勤しやすい駅近くのマンションが希望で。
そもそもうちの収入で家を購入できるのか、ということも知りたいです。
ほかにも家探しをする上で、知っていた方がいいことなどがあれば教えてください。よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いいたします。
Yさんのようなお悩みは多くの方が抱えていらっしゃいますね。
家探しでは、聞き慣れない言葉がたくさん出てきたり、家族間での意見が食い違ったりと、色々な壁にぶつかることがあるかと思います。
この対談では、後悔の無い住宅購入をしていただくために、家探しをどんな手順で進めたらいいか、また家探しのポイントなどを分かりやすくお伝えできればと思います。
はい、聞き慣れない言葉は沢山あります。先日も、不動産販売サイトを眺めていて気になった物件を見ると、小さく「取引態様<売主>」と書かれていました。「取引態様?売主?これってどういうこと?」と思ってネットで調べると、「売主物件は仲介手数料がかからない」とありました。ほんとですか?
はい。細かいところまでよく見られていますね。
「取引態様(とりひきたいよう)」とは、その情報を掲載している不動産会社が、どういう立場で取引に関わるかを示しています。不動産販売サイトに掲載されている物件の取引態様は、大きく2種類あります。
第一が「売主物件」です。売主(住宅を所有している個人や住宅会社)が、直接販売しているという意味です。特徴は仲介手数料が要らないということです。仮に3000万円の分譲住宅の場合は約105万円の仲介手数料が省けます。
仲介手数料ってそんなにかかるんですね!100万円以上省けるってすごくオトクじゃないですか!
はい、仲介手数料は販売価格とは別に支払うもので、大きな金額ですよね。
取引態様の第二は「仲介物件」です。取引態様が「仲介」でなく「媒介」などと書かれている場合もあ
りますが意味は大体同じです。売主が直接販売するのでなく、不動産会社を介して販売しています。
契約が成立した時、売主と買主双方が手数料を支払うことに成ります。よって、3000万円の契約が成立
すると、仲介する不動産会社には双方から105.6万円の仲介手数料が入ってきます。
それではYさん、「売主物件」と「仲介物件」どちらのケースが多いと思いますか?
ネットで探していると「売主」となっている物件ってあまり見ないですね。
そうなんです。「仲介物件」が圧倒的に多い。その理由は、
1)「売主物件」は、売主の対応次第で、買主とのトラブルが発生するケースがある。
買主に不動産知識がないと、対等に売主と交渉できないと思ってしまう。
2)「仲介物件」は、買主の希望条件を考慮した物件選びの選択肢が多く、金額交渉も仲介業者が代わりに行ってくれる。
このように、仲介手数料は必要経費という理由があります。
それじゃあ私みたいな不動産知識のない人が売主物件を買うのはやめた方がいい、ということですか?
どのような「売主物件」なら安心して交渉できるか、見極めポイントがあります。
- 売主が個人でなく「住宅会社」かどうか。売主が住宅会社なら、住宅専門の営業と直接話が出来て、販売物件の正確な構造や仕様や工事中の写真等を確認できます。
- 購入後のアフターメンテナンスに対応しているかどうか。
- 提携している金融機関の住宅ローンがあるかどうか。金融機関からも信用されているため、ローン手続きがスムーズに進みます。
この様に、売主がしっかりしている会社の「売主物件」であれば、安心して検討してみても良いと思います。
そういう物件を見つけるのは大変ですね…。
売主物件を探す、というよりも、仮にいくつか迷っている物件があって、販売金額が同じくらいならば売主物件の方がオトクだと考えた方がいいかもしれません。
また仲介業者選びも注意が必要です、建築知識や住宅ローン等の知識が豊富な実績のある業者で、親切な担当者が付けば、失敗しない住宅の購入が出来ると思いますよ。
なるほど。
取引態様って重要なんですね。注意して見てみます。
<最後にひとこと>
住宅購入に当たって、多くの方は住宅そのものを一生懸命調べますが、住宅を作っている住宅会社と販売を行っている住宅会社の営業、または仲介業者の担当者、つまり「企業」と「人」を良く見ることも大切です。